小さな油断はだんだんと重なり、大惨事になりうる

失敗談

日常生活を過ごす上で

あるいは仕事をする上で

「つい、うっかり」は誰にでもあると思います。

人間だもの。

けれども、私の母のように

身動きが取れない要介護状態の場合

あるいは赤ちゃんや幼児の場合

そのうっかりが「命の危機」

に直結することもあるわけです。

つい最近も、

いたたまれないニュースが走りましたね…

私にはとてもそれが他人事と思えないのです。


火曜日に母のてんかん発作が起き

二日間泥の様に眠り続けたのち

金曜日からおもゆ程度の食事を再開しました。

ただでさえ常人の何十分の一の

嚥下能力(飲み込む力)ですが

発作後2、3日飲まず食わずになると

さらに著しく低下します。


重度の介護状態になると、

「嚥下(えんげ)」は目下大きな課題です。

木曜の夜に水分ゼリーを

金曜の朝からおもゆやかぼちゃスープをと

少しずつ食事再開が始まったわけですが、

この金曜日は、

普段母と共に家にいることがほどんどの父に

リフレッシュして欲しいと

従姉が父をゴルフコンペに

誘ってくれた日でした。


父が大好きなゴルフに出かけることは

これまでも定期的にあり

その場合は同じマンションに住む私が

日中、母の側につきながら

仕事したりして過ごします。

しかし、5月に息子が生まれてからは

今回が初の取り組み。

近くに住む兄嫁からは、

「甥っ子が幼稚園に行ってる間なら

私の)息子くんを見ることができるから

いつでも声をかけてくれ」

と言われていたのですが、

数日前に母の発作で夜間対応した次の日にも

寝不足の私が少し休める様にと

夕飯時に息子を預かってくれていた手前

「ちょっと連続して頼みづらいな…」

という遠慮が私の中にありました。


初めての

自分 対 重度介護の母 & 4ヶ月の息子

という 1対2 体制に

一抹の不安がよぎりながらも

「まあ1人でもどうにかなるだろう」

と思ってしまったのです。


実際、母がいつもの体調なら

どうにかなったと思います。

しかし、

慢心が働く時というのは

なぜが色々と重なるものです。


その日は、月一回の母の訪問ネイルの日で

私の知り合いのネイリストさんなので

いつも母の施術後、

私もついでにやっていただいてるのですが

息子をあやしながらやってもらってるため

途中何度か中断して抱っこ姿勢変えたりと

本来よりどうしても時間がかかってしまいます。


いつもなら、母のお昼ご飯準備は父の担当で

食事の飲み込み具合も

父が目を光らせていますが

その日は、

あらかじめお昼ご飯を用意しておいて

息子を抱っこしながら

リビングで背中越しに母を注視しつつ

ネイルケアしてもらうといった具合でした。


そしてお昼のヘルパーさんに

いつもよりも柔らか度をあげた

完全ペースト食を食べさてもらったのですが

タイミングの悪いことにこのヘルパーさんが

9月から入り始めてまだ日の浅い人でした。


食事前に母の喉がゴロゴロしていたので

一旦ネイルを中断して、

息子を置き母の痰の吸引。

その後、そのヘルパーさんに背を向ける形で

「少しずつあげてくださいね」

「ごくんっと喉を通ったのを確認してから次ですよ」

と度々背中越しに声かけをしながら

一方で、

私はネイリストさんとの会話を楽しみつつ

時折息子がぐずるのをあやしつつ・・

といった注意散漫な具合でした。


ヘルパーさんが食事をあげ始めて

15分後くらいでしょうか。

私のネイルケアが終わり

「全然飲み込んでくれないんですが・・・」

というヘルパーさんの横へ行き

どれどれと母を覗き込んで見ると

明らかに顔色の悪いうっすら紫色の唇・・

次の瞬間

「これはただむせてるのではなく

誤嚥を起こしている。

マジでやばいやつだ!!」と感じ

すぐさま吸引を行おうとすると

口の中に歯軋り防止用のマウスピースを発見!

このヘルパーさんは、

マウスピースを外すのを忘れたまま

食事を上げていたのです。

ただでさえ今日はいつもより調子が悪いのに

マウスピースが入っていたら

普通の人でも飲み込みづらいのは当たり前。


すぐさま滞留した食べ物を吸引しましたが

いくらやってもどうもいつものように

ゴロゴロが引ききれない。

どうもちゃんと呼吸をしていないような気がする。


15年間痰の吸引をしていますが

初めての違和感だったので

これは自分じゃ無理だと判断し

即、今月から新しく契約し始めた

訪問看護のナースステーションに電話。

そのタイミングでバイタルを測ってみると

酸素の値は「50台」

これでは水中にいるような苦しさだそうです。


訪問ナースの方が15分程度で来てくださり

カテーテルを鼻の穴から

ガッツリ肺まで入れて吸引してもらうと

ずっと取れなかったゴロゴロがようやく引けて

一気に酸素値が98の正常値まで上がり

母の顔色もみるみると

普通の肌色に戻っていきました。

このナースの方が来なかったら

本気で危なかったと

思い出すたびヒヤリとします。


しかしながら

ナースが到着するまでの十五分程度・・・

バイタルを測っていた

パルスオキシメーターの電池が切れる。

今こそ数値を確認するべきこのタイミングで。。

慌てて単四電池を探すも

父がどこに電池を置いているのかがわからない。




そして、この日は先日の

バケツをひっくり返したような集中豪雨の日。

まさにこの瞬間、雷ドカーン⚡️の

雨ドッッシャー☔️


加えて最悪のタイミングで息子の空腹がMAX

「お腹すいたー!!のギャン泣き💦」

とりあえず抱っこしながら

電池を探すも見つからない。

今、彼におっぱいを上げている場合ではないので

ベッドに寝かすものの、

お腹すいてる状態で放って置かれて

赤ちゃんが待てるわけがありません。

さらにギャン泣き💦


もはやカオスです…

ヘルパーさんは何もできずオロオロ。

「とりあえずあなたは息子をあやしといてくれ!」

と言って、

ちょっと冷静になれ

と自分に言い聞かせる。

『そうだ、別のリモコンから電池を抜けばいい。』

これで電池問題は解決。

バイタルは確認できるようになった


それから次は。。

とにかく今私は母につく必要がある。

なので息子を見てもらう人が必要。

誰か人を呼ぼう。

夫も兄も仕事で無理だと判断し

まずは近くに住む兄嫁に

そして今日父と一緒にゴルフに行っていない

もうひとりの従姉に電話。

幸い二人ともすぐ応答してくれて

兄嫁が10分程度でかけつけてくれ

とりあえず息子の子守り問題は解決。

その後はいつものように往診を呼んで

自分でできる応急処置を全部して

事態を収めることができました。



夜になって1日を思い返すと

もちろんそのヘルパーさんの

マウスピース外し忘れは

うっかりでは済まない命取りのミスです。

それはきつく指摘させてもらったのですが、

それはそうと、

自分自身の行動を振り返っても

反省すべき点は多々あったなと。



忘れないためにもこの記事を書いて言語化しています。

まず、今日は父がいない

イレギュラー体制なのだから

「自分のネイルケアをしてもらいたい」

という気持ちは我慢するべきだった。

ただでさえ息子を抱っこしながらなんだし。




それから、

病み上がりのいつもより

ステータスが下がった状態には

ヘルパーさん任せにせず

これまで以上に気をつけて嚥下を見守ること。

あるいは声をかけられたら

すぐ対応できる両手状態でいること。




それから・・・

これが一番の反省点。

そもそも遡れば、兄嫁からの申し出を

最初から素直に受け取って

遠慮せず午前中息子を


みてもらっておくべきだった。



仮にもしそうしていたら、

ネイルもスムーズに終わり

母のお昼ご飯の時間帯には

手が空いていたわけだし。



もう、出産以前のように

自分のパワープレーのみで母の介護も

息子の育児も同時進行することはできない。

無理をすると、

今回のように何かあったとき

母かもしれないし

次は息子かもしれないし

危険な目に合わせてしまうかもしれない。


母のケアを頼むのはなかなか難しいけど

「子守なら私もできるから遠慮しないでくれ」


と言ってくれた兄嫁に頼ることを覚えました。

ある意味今回全てが重なったことで、

初めて自分自身が

「これ、さすがに無理かも」と感じ

人に助けを求められたので

そういう意味では産後新体制の教訓となる

良い機会だったなと。



次に活かせる機会があって

本当に良かったなと。


反省しつつポジティブにとらえているところです。

下村えり

下村えり

元パリコレモデル起業家。 バレーボール日本一。25歳から在宅介護歴15年、1歳児育児中のダブルケアラー。

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